2018年10月15日

トランプにビビるな!日本は対中共通関税の導入を検討すべきだ

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自動車関税に右往左往する無為無策の日本の対米外交戦略

FFRを前にしてトランプ政権が日本に対して貿易交渉の圧力を強化している。それに対して、日本側から聞こえてくる声は「自動車関税の導入」に対する懸念ばかりである。また、国内既得権層に支えられた農業保護のための勇ましい掛け声、そして対米追従・ご機嫌取りの対米インフラ投資への協力なども合わせて耳にする。

有識者による論議も「トランプの怒りを回避できるか」という対処療法的な取るに足らない主張が幅を利かせている。もちろん自動車産業は日本の基幹産業であるため、日本政府が自動車関税を回避するために全力を尽くすことは重要である。

しかし、本来はトランプ政権を前にして日本政府として同政権を最大限に利用するしたたかな戦略を持って臨むことが必要ではないか。筆者はジャイアンを前にしたスネ夫としての善後策に関する議論ばかりで辟易している。

多国間協定で対中交渉力強化を進めるオバマ時代の日本の戦略

トランプ大統領の問題意識は基本的に正しいものだ。自由市場による恩恵を確保し、知的財産権保護を強化することは世界経済にとってプラスである。そのため、それらの障害となる制度を有する他国に制度変更を求めることは当然のことだろう。

そして、その本丸は単純なモノの貿易収支の問題ではなく、貿易黒字額が拡大している知財使用料の確保にある。21世紀の雇用増・所得増の基盤は知的財産にあり、安全保障上もハイテク技術の保持は欠かすことが出来ない。日本も先進国であるため対中交渉については米国と同様に知財制度是正などを中国に求める立場である。

日本政府は日欧EPAやTPPなどの多国間協定で中国に対する交渉力強化に努めており、これはオバマ時代に推進してきた政策上のレガシーとして評価に値するものだ。そして、多国間協定を軸として自由貿易を推進することは当時の時流に沿ったものだったと言える。

しかし、トランプ大統領が創り出している新しい交渉の流れに対して機敏に対応できているとは言えず、むしろ急激な状況変化を前にして一年以上も徒に恐怖に慄いているようにしか見えない。硬直化した官僚システムが推進する多国間協定以外の新しい発想の注入が必要な状態であるが、惰性の延長線上から抜け切れずに強面の取引先のオーナー企業の社長をビビりながら接待漬けにするような善後策しか生まれてきていない。

トランプの対中交渉を利用した通商戦略を実施すべきだ

中国共産党は日本に対する融和姿勢を示しているが、このような姿勢の変化はトランプ政権が強硬策に出ている間の一時的な対応に過ぎない。日本政府は米中の衝突の漁夫の利を得たかのように錯覚しているようだが、中国共産党は喉元過ぎれば熱さを忘れることは間違いなく、再び日本に対して傲岸不遜な態度に転換することは目に見えている。したがって、安倍政権は中国が表面上繰り返す「自由貿易を擁護する発言」の尻馬に乗るかのように、トランプ政権を自由貿易に対するリスクとして危険視するナンセンスな言動をやめるべきだ。

トランプ大統領ほどに中国に対して攻勢的な大統領はいない。特に日本も手を焼いている中国の貿易慣行・知財政策について米国の国力をフルに用いて是正圧力をかける貴重な存在とも言える。そのため、むしろ日本政府はトランプ大統領と歩調を合わせて対中交渉圧力を強化するべきだろう。そして、中国の不公正な貿易慣行や技術の強制移転政策等を叩き潰し、日本の知的財産・安全保障を守るためにトランプ政権とともに戦う姿勢にシフトするべきだ。

具体的には、7月のトランプ・ユンケル米欧首脳会談後の共同記者会見で中国の諸政策が不当であると批判を浴びたことも踏まえて、安倍政権は中国に知財政策是正を求める「日米欧による対中共通関税の導入」を求める方向に舵を切るべきだ。今、日本の目の前で起きているトランプによる貿易戦争という千載一遇のチャンスを逃せば、日本が中国に政策変更を迫るチャンスは二度と訪れることはないだろう。

現在、トランプ大統領が必要しているものは通商政策上の同盟者であり、貿易戦争をともに戦い抜くパートナーだろう。日本政府は、自由主義・民主主義の価値観を共通にする日米同盟を活用し、この貿易戦争の主導権を自らの手に取り戻すべきだ。レーガン時代の米ソ冷戦における軍拡競争のように、米中は知財・ハイテクにおける覇権戦争の真っ只中にある。日本が貿易戦争において重要な地位を占めることによって対日自動車関税は必然的に回避されるとともに、中国に対して強い交渉力を持つことができるようになる。



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yuyawatase at 14:00|PermalinkComments(0)米国政治 
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10月10日渡瀬裕哉著『日本人が知らないトランプ再選のシナリオー奇妙な権力基盤を読み解く』発売告知


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2018年10月10日に拙著『日本人が知らないランプ再選のシナリオ―奇妙な権力基盤を読み解く』(産学社)が出版される運びとなった。トランプ当選から現在までの権力闘争と政策成果をデータとファクトで整理した上で、中間選挙前後の予測をまとめた内容となっている。書籍の校了自体は8月でほぼ完了しており、9月中旬現在までは国際情勢は本書で書いた通りの展開を見せている。

著者として、この本のウリに少し触れておくと、「誰もが当たり前の前提として処理していること」をもう一度見直すことを大切にした本である。トランプとは何者か、トランプ支持者とは、トランプは最初の一年でやったことは何か、そして貿易戦争の前提となるロジックとは・・・、など、誰もが何らかの形で答えを出していることに改めて向き合うことで、現在、そして未来への道筋が見えてくるのだ。

現代の時間が流れる速度は日々増しており、ドックイヤーどころか、マウスイヤーとして呼ばれるようになっている。次々と起きる出来事、そして情報のシャワーを浴びながら、辻褄合わせの処理を繰り返すばかりだ。したがって、物事の本質を掴むことが難しくなり、現在への理解と将来の予測に問題をきたすようになる。そのため、物事をバラバラの現象として捉えるのではなく、全体の構造の中で把握していくことが重要となってくる。

「トランプは予測不能」という評価は、この構造的に物事を把握する、という基本的な作業が蔑ろにされている証左だろう。個別の事象だけを追いかけていれば何でも予測不能なものになる。

筆者の場合は、金融機関の方々向けのレクが多いことから、第一線で切ったはったをしている人々に様々な角度から質問がぶつけられることになる。それらに対処する際に最も必要になる能力は「構造を理解する」力であり、大枠の中で物事を整理するくせをつけることだ。仮に事前の仮説に反証する事態が実際に発生した場合(ほとんどないが・・・)、それはパズルを合理的な形に組み直す条件が新たに生じたものとして構造認識を高度化していく作業として取り組むべきだろう。

本書のタイトルはトランプ再選のシナリオとなっているが、実際に再選できるシナリオは限られていると言えるだろう。そして、そのシナリオは現代の米国政治の構造を理解することがなければ決して見えてくることはない。本書では中間選挙の結果によって生じるシナリオを4パターンにまとめている。中間選挙の結果次第で現代の米国政治におけるパワーバランスの構造が変容し、その変容は確実に2020年大統領選挙に影響を与えることになるだろう。

今、米国政治、そしてトランプ政権で何が起きているのか、その全体像を捉えた上で理解したい人は是非手に取ってみてほしい。


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yuyawatase at 08:00|PermalinkComments(0)米国政治 
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2018年02月10日

東京23区大学定員抑制に思う。何故、若者が東京に出ていくのか?


東京23区への大学定員抑制を10年間続けることで若者の東京流入を抑制するという極めて愚かな法案が閣議決定されました。法案には地方大学及び産業振興のための交付金も盛り込まれていますが、毛沢東ばりの現代版・下放政策として自民党の歴史的愚策として名を残すことになることでしょう。


地方の根本的な問題は、県庁・市役所・寡占化された企業による「風通しの悪い疑似封建制」に嫌気を指した若者が流出しているに過ぎません。自分の未来が生まれによってほぼ決定している場所から前途有望な若者が出ていくだけです。今回の定員抑制のように「領民が支配地域の外に出ることを防止するために関所を作ってしまえ」と言わんばかりのボス猿の田舎政治の発想には呆れるばかりです。


東京は日本各地からの人々が集まります。地元ではボス扱いされている役所・企業も東京に出てきてしまえば全体の中の1つでしかなく、地方と違って一握りの人々が東京を支配することはできません。若者は東京の自由で開かれた気風に惹かれて上京し、そこで個人の努力に応じたそれなりの機会を得ることができます。


したがって、18歳以下の人口が減少する日本社会においてはそもそも東京への進学意欲が減少するわけがなく、大学定員を抑制したところで東京への人口流入が止まることはないでしょう。

一方、最近では東京の大学も東京出身者の比率が高まりつつあり、東京の多様性・自由闊達な空気が退行する可能性が出てきたように感じます。


東京は域外からもっと人材を受け入れるべきですが、その送り出し元が日本の地方である必要性はありません。東京に存在している私立大学はピンキリであり、どうしようもない下位大学はそもそも必要なく、同様にそれらの大学の学生を地方から受け入れなくても問題ありません。


むしろ、大学定員抑制の例外とされている、海外大学の積極的な誘致及び留学生を獲得し、既存の東京の大学と積極的に競争させることで大学教育の質の向上を図ることが重要です。東京は日本最大のグローバル都市として、地方を相手にするのではなく、あくまでも世界と向き合っていくべきです。日本の中での序列はコップの中での小さな話であり、世界に開かれた競争を促進することで教育の質の改善を行うことが望まれます。


また、意欲がある人材は地方で大学を出た後に東京に出てくるので、東京側はそれらの人々のための専門職大学院の質を高める努力をしたほうが良いでしょう。地方に対して学部レベルでの争いではなく大学院レベルで決定的な差異が生まれるように高等教育の差別化を図るべきです。


「自分たちの領土から領民を逃さない」ための政策を臆面もなく実行するボス猿政治に支配された地方に未来はありません。腐りきった風通しの悪い政治・社会・経済構造が若者の流出を生み出していることは明らかです。


東京は従来までの日本全国から人が集まる風通しの良さに加えて、世界から人が集まる風通しの良さを手にし、地方の発想とは全く別次元の進化を遂げる方向に舵を切るべきです。その結果として、東京の自由な空気は若者を惹きつけ続けることでしょう。



The Urban Folks公式サイトへ


トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体


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