2017年07月04日

都議選敗北はTOKYO自民党が生まれ変わる好機

a0001_013135

自民党・東京都議選の敗因は「争点」設計のミス

自民党の東京都議選のマニフェストは「個人都民税10%削減」「事業所税50%削減」など、経済政策としては「都民ファースト」よりも筋が良いものでした。しかし、これらの政策は「やっつけ感」が元々漂っていたこと、どの候補者も真面目に訴えていなかったこと、そして党本部がほぼそれらの政策を無視したこと、などが響いて、その価値や位置づけが明確になりませんでした。

一方、憲法改正やテロ等準備罪などのタカ派的な政策イメージが先行し、国民の目から安倍政権が一定の評価をされてきた経済政策が目立たなくなったことで、有権者が安倍政権を積極的に支える理由が喪失したことも大きかったと思えます。

そのため、消極的な理由である「安倍首相・自民党以外の選択肢がない」という課題に対して、自民党に対して「古いか・新しいか」というだけで他はほぼコピーと変わらない「都民ファースト」が代替者としての地位におさまることになりました。(もちろん、選挙戦自体は公明党・連合という新進党型なので少し違う点もありますが。)

都議会自民党は各選挙区のボスの集合体で統一的なキャンペーンは実施しにくい体質がありますが、そこは党本部側が国政レベルでキャンペーンを設定して補うべき点だったと思います。

争点設計の失敗の結果としての「メディアによるネガティブキャンペーン」

森友・加計のような首相及び夫人に起因する問題はまだしも、豊田議員の暴言スキャンダルや金子議員の公用車育児通勤などは本来は都議選に影響を与えるほどのモノかと言えば極めて疑問です。

要は安倍政権自体がテロ等準備罪や加計スキャンダルなどの国会対策に手一杯に追い込まれて、東京都議選をどのように戦うのか、という点について無策であったことが、メディアのネガティブキャンペーンに拍車をかける結果になったものと思います。

たしかに、昨年段階から小池知事の支持率は非常に高い状況ではあるものの、豊洲問題をはじめとして都民からの支持に一瞬のかげりが生じたことも確かであり、その時に自民党があるべき「東京都のビジョン」を示せなかったことが致命傷になりました。

小池知事は議会運営日程を見ながらマイナスを修復するタイミングを計画的に伺っていたように見えるため、選挙に向けたスケジュール設定なども小池知事のほうが上手であったように思います。

政権側が選挙争点を設計することに失敗した場合、反政権的なメディアによる争点設計が優位となり、その結果として「通常は話題にもならないようなネタ」がワイドショーで幅を利かせることになったといったところでしょう。

DDnlkBeUIAA0CHn

東京都を痛めつけることを良しとする現在の自民党の愚さ

むしろ、自民党は東京都のビジョンを作るどころか、東京都を衰退させるようなスタンスを維持し続けています。昨年の夏の東京都知事選挙において、都政のドンの問題はクローズアップされましたが、それだけでなく、増田寛也氏という東京から地方への不当な資源移転を推進する人物を知事候補におしたことが拒否されたことを真剣に考えてこなかったことが問題です。

知事選挙で落選した増田氏は杉並区の顧問に据えて厚遇されています。自民党の重鎮のお膝元であり、有権者の民意を無視した忖度の極みでしょう。同氏のお墨付きのプラスアルファを得た杉並区は南伊豆への無用な特養建設に邁進し続けており、東京都内からの税金の流出に拍車をかけるモデルを構築しようとしています。また、同氏が座長代理を務める国の有識者会議が東京都内における大学抑制をはじめとした東京衰退政策を平然と公表している姿にも全く共感できません。

基礎自治体が独自に判断したというのかもしれませんが、都民が有権者として税金で雇うことを拒否した人物に、都内の基礎自治体が顧問料を支払うことに疑問を呈さない政党など不要でしょう。

小池知事の初登頂時の握手を拒否した無反省ぶりだけでなく、政策的な無反省ぶりは極まった状況であると言えます。この点も「都民ファースト」という名称のアンチとして都民の認識の深いところに影響したものと推測します。(追記・握手拒否はメディアが作ったフェイクニュースということで、自分も勘違いしていたため反省します。)

TOKYO自由民主党は「東京都民のための政党」に生まれ変わるべきだ

自由民主党の主要な支持基盤は土着の人々であり、ノスタルジーに駆られて田舎に税金をばらまくことを良しとする人たちばかりではありません。東京都内でも土着の人々はいるのであって、党本部が地方を重視するどころか、都議会自民党が地方へのバラマキを容認するなど言語道断です。

筆者は元々TOKYO自民支持でしたが、近年ではおかしな方向に向かっていたため、第三極への支持を強めていました。そして、TOKYO自民党は完全な敗北を決すまで間違った政策を進めてしまいました。これは東京オリンピック招致で東京都は国に協力を求める必要があり、政権与党であった自民党が東京都のために働くことに対して逆行した政策を容認してきた故もあることでしょう。

しかし、既に東京オリンピック招致は決定しており、それらの差配は小池知事・都民ファースト側に移ることが予想されるため、TOKYO自民党は利権争いはほどほどにして、東京都民のために働く、という原点に立ち返ってほしいと思います。タックスイーターの政党からタックスぺイヤーの政党に転換すべきです。

二度と党本部が指名するような天下りの地方バラマキ候補を都知事候補に指名する愚を繰り返さないでほしいものです。

TOKYO自由民主党は経済成長の具体策を出せる政党へ

小池知事及び都民ファーストの会は豊洲問題に象徴させるように政策よりも政局を優先させる傾向を持っています。そのため、そもそも経済政策自体を真剣に考えている可能性は極めて低いものと思います。一方、自民党本部も東京都のことをまともに考えているとは信じがたい政策を実行しています。

そのため、都議会の野党第一党であるTOKYO自民党は独自のシンクタンク機能を創設し、東京都の経済成長を促すためのまともな政策を立案していくことが望まれます。それらは今後の都知事選挙や都議選における礎となっていくことでしょう。

この東京都議会議員選挙の結果は、中央の党本部が推し進める地方へのバラマキを東京自民党が拒絶して、東京都を更に経済成長させるための政党に生まれ変わる絶好の機会が到来したと受け止めるべきです。



本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
スポンサードリンク

2017年06月24日

都議選、ひぐちたかあきVS中村あや、頂上決戦の行方

無題
<ひぐちたかあき氏のHPから引用>

都議選、天王山としての千代田区選挙区の候補者はどんな人物か?

(1)ひぐちたかあき

〇プロフィール

・昭和57年8月生まれ(34歳)
・家族は妻と娘(2歳)
・京都大学法学部卒業
・都民ファーストの会 都政改革委員(千代田区担当)
・警視総監の息子

・幼少期は東京、長野、徳島、ロンドンなどを引っ越して、東京・地方・世界を経験。
・東京在住時には千代田区の皇居外苑でよく遊んでいる子どもだった。
・中高は小池知事のお膝元の豊島区の巣鴨学園。学業の傍ら、美術班で油絵を描く日々。
・京都大学法学部へ進学。大嶽秀夫教授の政治過程論ゼミにて政治学を学ぶ。
・部活は茶道部。3年間、自己を鍛錬し、おもてなしの精神、奥深い日本文化を学ぶ。

・政治の現場も学んでみたいと小池百合子代議士の地元事務所へ。4年間、地元での政治活動に従事。
・伝統やコミュニティなど守るべきは守る、古い政治体質など変えるべきは変える、という小池代議士の姿勢に影響を受けました。
・電通国際情報サービスで7年間の営業職。製造業のお客様を担当し、ITによる設計開発の効率化・改革を提案、支援。
・退職後、台湾大学大学院へ留学。両岸関係、中国政治経済、台湾地方政治、アジア主義などの研究。

〇感想

・幼い頃から東京、地方、海外を見て回った人物であり、学生時代から小池知事と関係があった人物。若い頃から政治に関心が高かったことが伺えます。
・電通国際情報サービスでの7年間でのコンサルティング経験は、東京都庁のIT化・IT調達の効率化などは期待できる可能性があるなと思います。
・中国・台湾関係に関する知見は、将来的な国政向きの候補者とも言えるため、今回の都議選をクリアした後の先が楽しみな人物です。

(2)中村あや

〇プロフィール

・平成元年11月10日(27歳)
・大阪府大阪市で、中村家長女として生まれる。転勤で愛知県にて生活。
・平成3年に妹が誕生し、現在でも2人で海外へ旅行するくらい仲良し。

・奈良県へ転居。ネオポリス幼稚園卒園後に、富雄北小学校入学。
・東京都へ転居。稲城第一小学校転入。
・富山県へ転居。西田地方小学校転入・卒業後、
・富山大学教育学部附属中学校入学・卒業。
・転勤で神奈川県へ転居。慶應義塾湘南藤沢高等部入学・卒業。
・転勤で東京都へ転居。慶應義塾大学法学部法律学科入学・卒業、同大学大学院法学研究科入学・修了。

・大学ではマイクロソフトオフィススペシャリスト世界学生大会で日本1位となり、学内表彰を受ける(塾長奨励賞受賞)。各マスコミで特集が組まれる。
・大学院では大沢秀介教授のもとで憲法学を研究。3.11のボランティア活動も行う。 
・暇さえあれば旅行へ。現在28ヶ国を訪問済。好きな都市はベネチアとニューヨーク。

・㈱日本取引所グループに入社。
・株式部で株式市場の現場業務を、JSCCへ出向し清算業務及びリスク管理に従事。
・社内のバドミントン部でも精力的に活動し、市民大会にも出場。

〇感想

・幼少期から学生時代まで転勤回数がやたら多い人物であるという印象です。
・MS世界学生大会で日本1位、世界28か国の旅行という行動派タイプ。
・現在の業務経験は必ずしも豊富とは言えませんが、将来的には面白い人材かなと思います。

千代田区選挙区、小池VSドン、だけでなく候補者力の判定は・・・

千代田区長選挙は、当然に小池VSドンという意味合いはあるものの、両陣営の候補者同士もなかなか面白いキャラだなと思っています。

政治経験・業務経験は都民ファーストのひぐちたかあき氏、意外と即戦力になりそうな人材です。若さという意味では中村あや氏ですが、若さという意味では新人の30代・20代の間では決定的な差があるとは思いません。

筆者の観点では、自民党の狙いがイマイチ分からないのでひぐちたかあき氏のほうが若干人材力の面で分があると思いますが、千代田区民の判断はいかがでしょうか。この注目選挙区の結果は楽しみです。



本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 17:00|PermalinkComments(0)国内政治 | 社会問題
スポンサードリンク

2017年06月23日

都議選のポイント、ドンとは何だったのか

内田茂
(都議会のドンと呼ばれた内田茂氏(引退))

小池劇場の第一幕、都議会のドンとの対決はまだ終わっていない

昨年の夏に行われた東京都知事選挙において、小池百合子氏は都議会のドンと呼ばれた内田茂氏と激しく対立、自公の傀儡であった増田寛也・元総務大臣を破って知事の座を手に入れました。

その後、小池知事は都議会において圧倒的少数与党であった都民ファースト(旧かがやけTokyo)では都政運営は不可能と判断し、この夏の選挙戦のため、公明党、連合、生活者ネット、共産党などの非自民全ての勢力を取り込んでの戦争に挑んでいます。

そして、元ドン・内田茂氏のお膝元である千代田区では、小池知事の刺客である樋口高顕氏がドンの後継候補者である中村あや氏との一騎打ちという情勢になっており、この1人区の勝敗は小池氏VS内田氏の因縁の対決に一定の決着をつけることになるでしょう。

今回の都議選は都民ファーストが公認・推薦候補者及び公明党で過半数の議席を得ることができるかどうかが焦点となっていますが、シンボリックな選挙区と言えば千代田区を除いて他にはありません。

ソリューション無き政治闘争は新たなドンを作ることに繋がる

ただし、都民ファーストの会と自民党の双方ともに、実はドンを根本から退治するための方策を示していません。なぜなら、都議会のドンは、東京23区制度、という自治の欠陥によって生まれたものだからです。

東京都23区は、通常の地方自治体と変わって多くの権限を東京都に取り上げられた状態となっています。それは東京という大都市経営のために必要なものとされていますが、その結果として東京都庁(≒都議会)に過度な権力が集中する構造が生まれているとともに、23区民には地方自治の意識が育ちにくい状況となっています。

自分の選挙区(地盤)を超えて他地域にまで隠然とした影響力を行使できる理由は、東京都庁によって東京23区がコントロールされて自律性を失っていることに原因があります。

そして、東京出身者が相対的に少ない東京都内において、東京23区制度によって一層の自治の希薄化が促進されて、都政のブラックボックス化や東京都庁からの天下りなどが放置された状況となっています。

現状のままであれば、千代田区で旧ドンの後継候補者が倒れたとしても、いずれ都議会の権限を牛耳る新たなドンが育ってくるだけの状態となることでしょう。

東京都から23区への権限の移譲こそが「ドンを無くす」ための最良の方策

筆者は以前に「都議会の「真の改革派」を見分ける簡単な方法」という記事をアップしました。簡単にいうと、東京都庁から東京23区(特別区)に権限を手放すことができる勢力が改革派だということです。

都民ファースト、自民党が自ら改革派を名乗っていたので、どちらかが「ドンを無くす」ための政策として同案を簡単でも良いので政策集で触れるかなと思っていたら、

橋下徹氏が「都民ファーストの会の公約が今の東京都政の問題点そのもの。彼らの公約のほとんどは23区がやるべきもの。」というTwitterでの投稿を行っており、日本維新の会が「都から区への権限移譲」を謳っていました。東京都民よりも大阪人のほうが東京の課題を分かっている、まさによそ者のほうが正直な意見が言えるものだなと感心しました。東京都は大阪と違って財政的余裕があるとはいえ、都民としては少々情けない話ですね。

恐らくは日本維新は議席を維持することは難しいと思います。しかし、都議会のドンが自民党から都民ファーストになるだけなら選挙をやる意味が無いため、大量に議席を保有する都民ファースト・自民党には選挙後に同政策を引き継いでくれることを願います。



本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 15:12|PermalinkComments(0)国内政治 | 社会問題
スポンサードリンク