2019年01月10日

ミット・ロムニー元大統領候補のトランプ大統領への年頭宣戦布告!

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2019年新年早々ミット・ロムニー元共和党大統領候補者(現上院議員)がトランプ大統領に事実上の宣戦布告を行った。

ワシントン・ポストに投稿された”The president shapes the public character of the nation. Trump’s character falls short.”という記事であり、平たく言うと「トランプの政策と人事の一部を良いが、それ以上に品格に欠ける振る舞いが問題だ」というものだ。

実際の問題として、トランプ大統領の政策実現力は極めて高いため、低支持率に喘ぐ主な理由は大統領のキャラクターにある。筆者には外交・安全保障政策上の判断も妥当な部分が多いように感じるが、多くの有識者とされる人々が彼を批判するのは内容よりも言動に着目しているからだろう。トランプ大統領も感情的であるが、その批判者も感情的であることに変わりはない。

ロムニーがトランプ大統領に年明け早々、しかも共和党に対して敵対的なワシントン・ポストでトランプ批判を行った理由は、彼が2020年の共和党予備選挙に出馬することが確実視されていることが背景にある。ロムニーは、マサチューセッツ州知事として財政均衡を達成するとともにオバマケアの前身となる保険制度を導入し、なおかつ本人はモルモン教徒という保守派からは賛否が分かれる人物であるが、優れたビジネスキャリア、厳格な生活姿勢、州知事としての実績などが評価されている人物だ。

トランプ大統領はロムニーに対して批判的な保守派層に支えられた大統領であり、仮にロムニーが共和党予備選挙に出馬してきた場合両者の激戦は免れ得ないだろう。2019年の米国政局は早くも大荒れの予感を示している。

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yuyawatase at 14:28|PermalinkComments(0)
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2019年01月09日

2018年は陰謀論者完敗の年、2019年から政治議論の健全化を!

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2018年は近年政治に関心がある市井を賑わせてきた陰謀論者が完敗した年であった。

その代表的な陰謀論は、TPP亡国論や水道法改正反対論である。

米国抜きのTPP11は2018年12月30日に正式に発効することになった。TPP亡国論者は盛んに米国の陰謀論を叫び続けていたが、米国のトランプ大統領が2017年にTPPから撤退したことで完全に腰砕けになった。そして、中国の権威主義的政治体制や強奪的な経済政策に対する認知が拡がる中で、TPPは自由市場の健全なルール、そしてアジア・太平洋地域における秩序を形成する仕組みとして再評価されつつある。たとえ米国が抜けたとしても知的財産権などを巡るルールをアジア太平洋地域に敷くことができる意味は極めて大きい。

また、水道法改正も12月6日に可決することになった。外資による水道運営に対する排外主義的陰謀論はいまだに巷で耳にするが、これらの陰謀論はやがて現実の前に退けられていくだろう。日本の水道管の更新作業の必要性は公営でもコンセッションでも変わらないことであり、いずれであっても値上げは避けられないものだ。その際に取り得る選択肢として優れた水道管更新ノウハウなどを持つ外資系企業のやり方を学ぶとともに、従来型の日本のコスト改善を図ることの何が問題なのか理解に苦しむ。実際のコンセッションの導入は各自治体で決めることなので、公営を維持する前提であつたとしても既存の独占事業体及びメーカーの癒着構造を持つ水道事業に疑似的な競争環境を整えることの意義は大きい。

いずれにせよ、愚にもつかない陰謀論は、TPPも水道法改正も止めることはできなかった。安倍政権という強力な政権の前に、議論に値する価値すら存在しない陰謀論など何の意味もないものだった。陰謀論をばらまく識者が残したものは無惨なデマと被害にあった心優しい人たちだけである。

ただし、筆者は安倍政権の国民に対する政治スタンスにも疑問を持っている。確かに、馬鹿げた議論を歯牙にもかけることなく、国民に十分な説明もなく政策を実現していくことは、短期的には非常に合理的な行為だ。政治は決まった期間内に結果を出していく必要があるので、安倍政権が陰謀論を相手にせずそのような政治姿勢を取りたくなるのも頷ける。陰謀論に取りつかれた人は聞く耳も持たないほどに洗脳されているので話しかけるだけ無駄だからだ。

しかし、政権側として面倒くさいからと言って、陰謀論に取りつかれた人々以外の普通の感覚を持った人への説明責任を放棄してよいわけではない。多くの人々はTPPや水道法改正の必要性を丁寧に説明すれば理解することが出来るだろう。その過程でまとわりついてくる陰謀論者の面倒臭さを割愛すれば、政策への理解を示す人を増やすことは健全な政治環境を整える意味で極めて重要である。もしかしたら、陰謀論に騙された人の中から異なる議論に触れて違和感を持ったことで目が覚める人も居るかもしれない。

また、ほとんど可能性はないが、何かの拍子で陰謀論者の影響で実現された政策が後戻りさせられることもあり得る。その瞬間に問われることは、陰謀論ではなく政策の必要性について正しく理解している人の集団である。現在のように政権の一部の人だけが政策意義及び政策内容を理解している言論空間は民主主義社会では政策リスクが高い。

利権に塗れた反対論者を説得することは不可能であるが、せめて自らの政策のファンづくりくらいは行って健全な議論が行われる環境を作るべきだ。そして、陰謀論のような質が低い議論ではなく、より高度なレベルの政策議論が行われる土台を構築することが必要だ。

筆者が2019年以降の日本政治に求めることは、陰謀論者が一掃されていくべきだ、ということだ。そして、政策が地に足のついたものに変わっていくことが重要である。今年こそ政治の議論が健全化されていくことを願ってやまない。

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yuyawatase at 07:11|PermalinkComments(0)
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2018年11月09日

「『技術』が変える戦争と平和」(芙蓉書房出版)を読む



知人からの薦めがあって、道下徳成
「『技術』が変える戦争と平和」(芙蓉書房出版)を読んでみたところ、この本は現代に生きる我々にとって必読の一冊であることが分かった。

内容としては当代随一の安全保障の専門家らが現代における技術革新が戦争実務や平和構築に与えるインパクトについて論述したものであり、各パートごとに専門性の高い分析が盛り込まれている形となっている。まさに、同分野における第一人者の講演を一挙に聞くことができたような感覚に陥ること請け合いである。

本書の優れている点は1つ1つの分析の専門性も然ることながら、読者の頭脳の中で各々の議論が相互に紐づいていくように作られていることだ。たとえば、ドローン、3Dプリンター、AIなどの最先端技術の動向が結びついていくことで、新たな戦争形態、として世界秩序の在り方などが自然と脳裏に浮かぶように作られている。これは一人の論者による著作では不可能であり、本書を読むことでしか味わえないものだろう。

筆者が最も印象に残った個別パートは、3Dプリンターが兵站に与える影響を論じた部谷直亮氏による論稿である。古来より戦争の勝敗は兵站管理によるところが大きく、高価な兵器を小ロットで活用する現代戦においては更にその重要性が高まっている。自衛隊においても兵装の部品を十分に揃えられず、同種の兵器間での共食い整備が行われていることは良く知られるところであるが、自衛隊の無謀な兵器購入計画の帳尻を合わせていくのにも有効なものとなるだろう。(また、3Dプリンターの影響で各国間の貿易量が減少し、経済の相互依存体制が崩れる可能性が指摘されている点も興味深い)

日本ではなかなか知ることができない安全保障の最先端の情報に触れることができる良書であり、トランプ政権・米国や習近平政権・中国がどこに向かっているのかを知る端緒になるだろう。国際政治分野に興味がある方は本書を是非手に取ってほしいと思う。

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yuyawatase at 00:07|PermalinkComments(0)
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