2015年11月30日
舛添要一都知事は激高すべき、首都圏民3500万人の政治を
「法人住民税1兆円を地方に再配分 29年度から、政府検討」
http://www.sankei.com/economy/news/151027/ecn1510270012-n1.html
という記事がちょっと前に報道されていました。都道府県別の1人当たりの法人住民税・事業税の25年度の税収を比較すると、最も少ない奈良県と、全国最多の東京都の格差は6・3倍に上るから、東京から税金を取り上げてしまおうという。。。
罰ゲーム化した都市部の努力への仕打ち
今回、中央政府が吸い上げようとしている税収は「法人住民税」です。つまり、ある地域に立地している企業が地方自治体に支払う法人税・地方税の一種類です。法人住民税を全体3兆円のうち1兆円も中央政府の気分で召し上げられるなら、もはや「地方税ではなく国税の間違い」だと思います。
収益力がある企業が誕生・集合することで法人住民税の金額は当然に増えていきます。都市部はあらゆる資源を活用してインフラ・人材を教育することで企業の成長を助ける努力をしています。その結果が東京を中心とした都市部の法人住民税の高さです。
その法人住民税を半ば国税扱いをして取り上げて地方に再配分する計画は「頑張った人に良く頑張ったね。でも君がやっていることは悪いことだから稼いだお金は取り上げます」ということと同義です。このような罰ゲームを導入することは人道的・経済的に許されることではありません。
継続不可能な地方交付税度を廃止することを議論すべき
このようなトンデモない政策が出てきた背景には、地方交付税、の仕組みが限界に近付いていることがあります。今回、政府は法人住民税を取り上げて地方交付税に充当しようとしています。
地方交付税の現状は「中央政府は既に単年度の支払いもできなくなっており、地方自治体に借金のツケ回しを奨励している」状態です。臨時財政対策債という名称で地方自治体で増え続けている地方債は中央政府が裏書保証した形になっている借金のことです。
つまり、今回の法人住民税の移転話は、中央政府が地方自治体に「実行不可能な地方交付税の支払い」を約束した帳尻を合わせるために、都市部に対して大型の地方交付税のための増税を実施するという話なのです。
私はかつて地方交付税の算出根拠について調べたこともありましたが、地方交付税の交付額の基準となっている基準財政需要額の算出方法の中には現代人の目から見て妥当とは言えないものもあります。
現在、議論されるべきことは、地方交付税の算出根拠などの制度の全面的な見直し、地方自治体による臨時財政対策債の発行に歯止めをかけることです。地方債を減らしたと豪語している大阪府ですら同債務が異常に増加していることに危機感を持つべきです。
世界はメガシティー同士の競争に移行しつつある
現在、人口1000万人以上のメガシティーは世界に34か所存在しており、これらの数は今後も飛躍的に増加していきます。2030年には世界の人口の60%は都市部に居住することになり、都市の競争力=国の競争力、という図式がより明確になっていきます。
このような状況の中で都市部から財源を取り上げて地方に再配分していく余裕は無くなりつつあります。むしろ、都市部から地方への移住を奨励するのではなく、首都圏などの都市部に日本国民が移住するように誘導していくことが望ましい政策です。
また、既に首都圏には約3500万人、日本の人口の4分の1が暮らしている状況があります。たとえば、東京から税金を取り上げて遠くの地方にばら撒くことは、人口全体25%首都圏住民の生活に影響を与えることになります。何よりも重要なことは東京の経済発展を促進し、都市部の規模を拡大して周辺も含めた経済浮揚を達成し続けることです。
都市部選出の国会議員も地方選出の国会議員も今後世界がどちらに向かっていくのか、日本全体の将来について責任ある議論をして頂きたいと思います。
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参議院選挙前に民主党崩壊を予言する「ある数字」とは
民主党の解党論議が年末にかけて本格化していく状況となっていますが、民主党は「解党ではなく崩壊」する可能性が極めて高い状況となっています。それは「ある数字」が示しています
民主党の「解党ではなく崩壊」を示す「ある数字」とは何か
民主党崩壊の根拠となる数字は「参議院議員選挙の比例得票数」です。
参議院議員選挙は選挙区と比例区に分かれており、選挙区は少数の議席を争うために二大政党にとって有利な環境となっていますが、比例区は「政党の勢い」が重要であるため、毎回各政党の比例得票数は激しく上限しています。
民主党の過去の比例得票数は、2007年・2325万票⇒2010年・1845万票⇒2013年・713万票、という激減過程の中にあり、2016年の参議院議員選挙の比例得票数も支持率低迷の中で増加する見込みはありません。
そして、この参議院比例票の激減、そして比例代表の獲得議席数の減少こそが労働組合の組織に依存する民主党にとっては致命的な結果をもたらすことになります。
参議院比例票の激減で労組系組織内候補の大量落選が現実に
実際の得票数・議席数は投票率にも左右されることになりますが、推計で仮に民主党が前回同様の700万票前後であったと仮定した場合、民主党の比例獲得議席数は7議席程度になるでしょう。自民、維新、共産が得票数を伸ばしてくる中で民主党の得票が伸びる理由は特にありません。
獲得議席数を「7」とすると、かなりの数の労働組合の組織内候補者が落選することになります。実際に前回の2013年の参議院議員選挙ではゼンセン、JP、基幹労連、などの旧同盟系の労組の組織内候補が議席を得ることができませんでした。
同参議院議員選挙の票数の激減は予測を上回るものであり、各労働組合も対応しきれなかったものと思います。(その意味で候補者を1人に絞った立正佼成会の判断は見事でした。)
2016年参議院議員選挙比例区でも同様の得票と仮定した場合、自動車、電力、自治労、日教組、情報労連の5つ以外の労働組合は議席を確保することは極めて困難です。これらの有力労組に加えて当選可能な候補者は立正佼正会の組織内候補者1名と有田芳生氏だけであり、以上のメンバーで獲得見込みの7議席を消化することになります。
つまり、参議院比例区で当選する民主党の候補者は既に全議席決定しており、2010年に獲得した議席を失う中堅の労働組合にとっては自分たちの影響力が激減することが明白な状況となっています。
同盟系労働組合は維新に流れることで議席を確保できる状況に
そのため、旧同盟系の中堅どころの労働組合にとっては民主党から抜け出て、「維新」(大阪)と組んだ方が自分たちの組織内候補者を当選させることができる状況が生まれています。(自動車・電力などの巨大労組も都市部に基盤があるため、維新との潜在的な親和性は高いと思います。)
2010年の維新の比例代表は30万票を獲得した候補者は猪木・中山の2名のみであり、その他の候補者は皆4万1千票以下の得票数でしかありません。これは維新(大阪)が全国的な基盤を持つ強力な団体の候補者を抱えていないことを意味しています。
維新の獲得議席数は前回のみんなと維新の合計(1000万前後)と仮定すると、10~12議席程度になる可能性が高いため、平均して10万票以上得票できる同盟系労組は維新に移ることで安定的に上位当選することが可能であることを同時に示唆しています。(自治労・日教組以外は維新と組めるはずです。)
また、公明と直接の関係を持たない維新は、20万票の組織票を持つ立正佼成会にとっても魅力的な連携相手であり、民主党では1名しか当選させられない組織候補を2名まで増やせる可能性があります。
共産党と選挙協力を打ち出す民主党の現執行部の方針では比例票は共産党に食われることが予想されます。そのような状況は共産党と犬猿の中にある同盟系の労働組合にとってはデメリットでしかなく、逆に政権入りが確実視される維新と組むメリットを大きくしています。
労働組合の運動力が半減した民主党は崩壊する
旧同盟系の中堅の労働組合が民主党から離反することが「比例票」の予測から確実視されるため、これらの労働組合が離反した場合の民主党の運動力は著しく落ちることになるでしょう。
そして、それらを吸収した維新勢力は全国の小選挙区での候補者の擁立が可能になるため、維新・民主の力関係は一気に逆転することになります。
民主党が崩壊を回避するためには、共産党との連携を拒否した上で民主党の支持率を上げることが必要になってくるわけですが、衆参ダブルの選挙戦が見込まれる中で、民主党内の衆議院・参議院の利害が対立することで両すくみ状態になることが想定されます。
共産党と組めば衆議院の小選挙区が有利、共産党と組まなければ衆参の比例区が有利という形になるわけで、自民側・維新側は衆参ダブルをちらつかせて民主党を揺さぶって内部分裂を待てば良いだけとなります。
民主党崩壊の運命を握る存在は公明党である
民主党崩壊のイレギュラー要素は公明党の存在です。民主党の崩壊が予測される中で、非常に近い距離にある自民党・維新が公明党をどのように扱っていくかは予測が困難です。
民主党の崩壊は自民党との連立先である公明党の利害に反すること、 衆参同時選挙は組織政党である公明党の利害に反すること、など、上記の民主党崩壊シナリオと公明党の立ち位置を相容れないものだからです。
過去の得票数だけを見た場合、民主党が唯一生き残る道は共産党ではなく公明党との連携しかあり得ず、民主独立路線で公明党との共闘関係を構築する道しかありません。民主党には旧新進党化という戦略オプション以外の選択肢は残されていないのです。
そのため、今後の展開としては、自民党が「維新を取り込みつつ」「公明党をグリップし続ける」ことが可能なのか、ということになります。いずれにせよ、本件はあくまでも得票数に基づく予測であるため、内外の要因で左右される複雑な政局動向の変化で今後大きく変わる可能性もあります。
本ブログでは政局動向を注目しながら、選挙の得票数字に基づく将来予測を行っていきたいと思います。
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何故、政治資金でライザップに行くことは問題なのか
何故、政治資金でガールズバーやライザップに行くことは問題なのか
現在、ガールズバーやライザップに政治資金を支出していたことが問題となっています。しかし、本来はビール券や香典などの公職選挙法で禁じられた買収行為に使用することを問題にするべきであり、政治資金の利用使途自体は何に使ったとしても各政治団体の内部自治の問題として認められるべきものです。
従って、バカみたいなものに使っている政治家は「情報を全公開される」ことで、次の選挙で落選すれば良い、ということが建前となります。ライザップに通ってお腹が凹んだことを有権者が政治活動として評価するか否かというだけの話です。
政治資金の支出内容が問題となるのは「政党助成金」が入っているから
政治資金の支出内容が問題になる理由は「政党所属議員の政治活動費には『税金』である政党助成金が入っているから」です。
国会議員が自らの政党支部や後援会に政党助成金を受け取っているならば、本来の政治団体の内部自治の範囲から外れた問題が発生します。
政党助成法第一条には、
(目的)
第一条 この法律は、議会制民主政治における政党の機能の重要性にかんがみ、国が政党に対し政党交付金による助成を行うこととし、このために必要な政党の要件、政党の届出その他政党交付金の交付に関する手続を定めるとともに、その使途の報告その他必要な措置を講ずることにより、政党の政治活動の健全な発達の促進及びその公明と公正の確保を図り、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的とする。
と書いてあります。つまり、政党から政党助成金の一部を受け取っている国会議員などは「まともな政党活動と民主政治をやろうね」ということです。
そのため、選挙の洗礼で判断されるべき「政治活動の支出内容」の是非が「有権者以外」の納税者一般から問われることになります。しかし、当然「公明・公正」や「健全な発展」は人によって価値観が違うので、見方によっては何でも不適切な支出にできることになります。
政治家の責任は違法行為以外は選挙で問われるべきである
本来、政治家は選挙で自らの行為の責任を問われるべきです。そのため、選挙とは異なる倫理規範が求められる「政党助成金」の存在をそもそも認めるべきではありません。日本共産党のように政党助成金は全額受け取らず、その他の収入で政党運営を行っていくことが政治団体の内部自治を確立するために必要なことです。
政党が企業・団体・個人から寄付を受けることは当たり前のことであり、政党助成金を受け取って政治団体の内部自治を放棄すれば「常に突っ込みどころ」を晒しながら政治活動を行うことになります。
政治家が目先にぶら下がった税金に飛びつくことで、選挙以外で自らを辞職に追い込める状況を作りだしていることは本当に愚かなことです。マスメディアが取り上げる不適切な支出などは適当な理屈で簡単に作り出せます。たとえば、共産党員も納税者であり、自民党の国会議員の支出に何でも文句をつけることすら可能だからです。
政治家は自分の支出の責任は自分で取るべきであり、いちいちマスメディアなどを通じて納税者全体をくだらないレベルの話に巻き込むことを止めるべきです。政党助成金という税金にオンブにダッコの政党運営を見直し、政党・国会議員には納税者から独り立ちしてほしいと思います。
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