2015年11月16日

マルコ・ルビオ上院議員、米国共和党予備選挙で注目

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前回記事「支持率の変化から見た共和党大統領予備選挙」ではデータから共和党大統領予備選挙の各候補者の数字の推移を追いました。本日は実際に米国において各候補者の姿を見聞してきた印象をまとめてみたいと思います。

日本の米国研究者のピント外れな予想としての「ブッシュ」

2016年共和党の大統領候補者を選ぶ予備選挙について、日本の米国研究者はブッシュ氏を大本命として推してきていました。

たまに日本人の米国研究者と偶然に席を持つことがありますが、その際に「今回は保守派が強い」という話をしても彼らは鼻で笑いながら「僕らのコミュニティでは(穏健派の)ブッシュという予想になっています」と述べていたものです。(実際、米国研究者は「知ったか」が多く、あまり当てにならない印象があります。)

しかし、私は今年2月末に実施された共和党保守派の集会であるCPAC(Conservative Political Action Conference:大統領予備選候補者が全員参加する大演説会)に参加した感想としてブッシュ氏はかなり難しいという印象を受けました。

たしかに、ブッシュ氏が講演したメイン会場では多くの立ち見が出ている状況ではありましたが、ブッシュ氏の演説自体はイマイチ迫力に欠けるものであり切れ味がありませんでした。一方のドナルド・トランプ氏は大量のSPに囲まれてホテルに登場して圧倒的な威圧感を周囲に与えていました。この段階で両者の間には風格としてかなり差がついていたと思います。

勿論、現段階では最終的な候補者は確定していないため、ブッシュ氏が盛り返す可能性は0%ではありませんが、現地で見た空気感としては2月末段階からブッシュ氏の現在の低迷はある程度予想できました。

ブッシュ氏の凋落ぶりは激しくケーシック氏などの他穏健派候補者にスイッチされる可能性すらあります。

マルコ・ルビオというダークホースの登場

私自身は現在の有力候補となっているマルコ・ルビオ氏については2012年から注目してきました。

「共和党の大統領候補者選び、カギはマルコ・ルビオ氏!?」(日経ビジネスオンライン、2012年)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120220/227382/?rt=nocnt

2012年当時は保守派の筆頭格のような扱いを受けていたマルコ・ルビオ氏ですが、ヒスパニック移民に対する態度の軟化を保守派に非難されてから、保守派の色を残しつつ穏健派の取り込みを行う巧みな選挙戦略にシフトしてきました。

ブッシュ氏の低迷はマルコ・ルビオ氏のスタンスの変化が影響している部分も大きく、仮に穏健派の候補者が勝つにしても、現状はマルコ・ルビオ氏のほうがブッシュ氏よりも優勢な状況にあります。最近ではウォール街もブッシュ氏を切ってマルコ・ルビオ氏に乗り換える動きが出ています。

また、マルコ・ルビオ氏の特徴はキューバ移民の子どもでバリバリのたたき上げだということも大衆受けの面から大きな要素です。対立候補であるトランプ氏が持っているアメリカンドリームの魅力も兼ね揃えた候補者として強力だと思います。

ベン・カーソン、ランドポール、カーリー・フィオリーナなどの保守派候補について

ベン・カーソン氏とランド・ポール氏は今年のかなり早い段階からキャンペーンを開始していました。私自身は実際にランド・ポール氏とは直接お会いしたことがありますが、非常に真摯な印象を受けた記憶があります。

ランド・ポール氏に関しては、父のロン・ポール氏とは政策が違うことから仲違いしたこと、ケートー研究所が支持を撤回したことなど、コアなファン層を持つものの、現状から挽回することはかなり難しい印象です。

カーリー・フィオリーナ女史に関しては唯一の女性候補者として目立つ存在ではありますが、実際の見た感じではやや尖がった感じを受けたため、支持がどこまで拡大できるかは今一つ疑問だと思います。

穏健派に比べて保守派はメディアがかなり敵対的なスタンスを取るために支持率があがると、大規模なネガキャンが直ぐに開始されます。トランプ氏以外の保守派候補者は早い段階で有力という名前が挙がることは危険なことだと思います。

共和党大統領予備選挙は何故これほどまでに複数の候補者が出るのか

米国民主党の候補者レースがヒラリーとサンダースの2名に絞られているのに対し、米国共和党の候補者が複数出馬する理由は「共和党の人材の層の厚さ」「共和党の草の根団体の独立性」の2点が挙げられると思います。

米国共和党は米国民主党と比べて分散的なネットワーク型の草の根組織で支えられています。そのため、候補者も多様なメンバーが発掘されやすく、また一部の権力者による候補者選びが極めて難しい環境があります。

まさに、共和党の大統領候補者選びこそが米国の自由で民主的な空気を体現したものと言えるでしょう。米国共和党の大統領予備選挙の現状を参考とし、日本の政党の党首・代表選挙も改善されていくことが望まれます。

「保守革命」がアメリカを変える
グローバー・G. ノーキスト
中央公論社
1996-06




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yuyawatase at 07:00|PermalinkComments(0)米国政治 
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2015年11月15日

#Notinmynameキャンペーン


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テロリズムは全ての社会・人々の敵であるという認識が必要


テロは恐怖によって社会を破壊しようとする行為であり、フランスで発生したテロ行為は断固として容認されるべきものではありません。これは西側諸国の自由の価値観に対する挑戦であるとともに、全世界の平和に暮らす人々に対する脅迫であるということです。

欧米では「イスラム過激派と自分たちは戦争中である」という言論が盛り上がっているようですが、私たちはいかなる種類のテロリストとも常に緊張関係にあり、イスラム過激派以外にも自由を脅かす存在は多数存在しています。

テロとの戦いとは自由と平和の価値観を持つ全ての人々に共通するものであり、それは当然にイスラム社会で暮らす人々にとっても同様のことだと思います。

テロの大義が、キリスト教徒、神道、仏教、共産主義、その他諸々、あらゆる過激派の犯行であったとしてもテロリストに一切の妥協は無用です。

#Notinmyname:テロによって最大の不利益を被る人々は平和に暮らすイスラム社会の人々

イスラム過激派のテロ行為によって最大の不利益を被る人々は平和に暮らすイスラム社会の人々です。

当たり前の話ですが、誰もが戦闘員としての訓練を受けたテロリスト予備軍であるわけもなく、ほとんど全ての人が平和に暮らしている市民であることは、イスラム社会でもその他の社会でも一緒です。

一部のイスラム過激派のテロによって社会の目はイスラム教徒に対して厳しくなることが予想されます。首相官邸のFBページにはイスラム教徒だけでなくその他の移民も排斥したほうが良いという愚かなコメントが溢れかえっています。

仮に日本人の一部の過激派が海外で同様の事件を起こし、同じような排斥運動が起きることを一瞬でも想像すれば自分たちがどれほど愚かな話をしているかが分かることでしょう。

現在、世界ではムスリムの皆さんが#Notinmynameというキャンペーンを展開しており、テロリストと穏やかに暮らす人々を分けて考えるよう訴えかけています。

今回のイスラム過激派によるテロの日本国内の最大の犠牲者は日本国内で平和に暮らすムスリムの人々であり、彼らを社会的に包摂する取り組みの重要性が増したと言えます。

日本国内におけるイスラム社会への理解の促進が重要

今回のテロを通じて、イスラム社会への関心が良い意味でも悪い意味でも再び高まることを生かし、国民意識を良い方向に動かしていくことが政治の役割です。

自分はテロリストに対して、一切妥協する必要もなく情状酌量の余地も存在しない、と考えます。しかし、「警備の強化が必要だ!」などと声高に叫ぶことはナンセンスだと思います。米国やロシアのように厳重なテロ対策を行っていてもテロを防ぐことは極めて困難です。

そのような対処療法的な対応ではなく、国内のイスラム社会などへの理解を通じた人間関係の構築をしっかりと行っていく方が重要であると思います。テロリズムは自由や平和を支えるソーシャルキャピタルの欠乏から発生するからです。

人口減少に苦しむ日本が今後多海からの移住者をムスリムに限らず受け入れていくことは自然なことです。そのとき、摩擦を少なくして良い形でお互いの文化・社会を吸収して高め合う関係を築くことが大事です。

安易な政権批判や警備強化論を排斥し、異文化の人々と人間として向き合う姿勢を大切にするべきです。





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yuyawatase at 22:00|PermalinkComments(0)社会問題 
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地方活性化を本気で望むならマインドを変えるべき

kuuki


アゴラに寄稿した記事について、長崎総合科学大学の前田陽次郎さんから返信を頂きましたので、私の方からも回答をさせて頂ければと思います。少々辛めの意見ですがご容赦頂ければ幸いです。

まずは地方税・地方交付税に関する大枠の話についてお答えさえて頂きます

根本的な見解の違いを申し上げますと、私は「地方が都市部と同様に十分なインフラが整備されないとおかしい」ということは不可能かつ無謀だと思いますし、また高所得者から低所得者への所得移転も無条件では同意しません。

その上で、地方財政の話について申し上げますと、現状の地方交付税などの地方への強制的な税配分の継続を前提とした場合、東京都民が地方自治体に対して利用使途を査定するという制度の導入には同意します。そして、過剰な財源移転を止めることについても当然に賛同します。

また、ご提案の各都道府県から得られる消費税収入を基礎とした地方交付税廃止案は、都市部にとっては消費税偏在の関係から大量に資金が残って非常に良いことだと思います。さらに、消費税の地方税化を通じて増減税競争が起きることで足による投票が進むことも良いことです。

仮に東京都の税収が潤沢になった場合、余剰見込みの税収を使った都内消費税減税などを通じて、東京都の景気を大幅に浮揚させることで、首都圏3500万住民の所得・雇用が大幅に改善すると思います。おそらく国民的な住居移動が促進されて首都圏人口は増加し、経済効果の恩恵を受ける人の数は増大し続けるでしょう。限界集落まで含めた国民全体という話は難しいかもしれませんが、単純にバラマキを行うよりも都市近郊の地方自治体の振興には大いに役立つはずです。

資産格差・所得格差についてですが、田舎の地方自治体内部にも所得格差・資産格差は当然に存在しますので、まずはそちらで平等化を実施してみてください。それを一国レベルで実施するのか、地域単体で実施するのかの違いでだけです。本当に成り立つ話でしょうか、想像してみてください。

私が何度も申し上げていることは、都市からの財源移転を前提としなければ、地方の経済も財政も成り立たないことを素直に認めるべきであり、都市に集中投資することでスムーズな移行を実施するべきだということです。地方消滅に向けた準備や移住促進を速やかに行うべきだと思います。

ごめんなさい、細かい質問に回答するならコンサルティングフィーを頂けますか

さて、その他の前田陽次郎さんの諸々の疑問に一つ一つ反論していくこともやぶさかではないのですが、この場でそれを行うことはいたしません。なぜなら、アイディアも紙面もは有限だからです。

前田さんは優秀な都会人が「ふるさと納税のような制度を提示してあれば」とおっしゃっていますが、それらは無料ではないために地方活性化策についてこの場では回答する気はありません。

ちなみに、自分は現実に再生不能な地方自治体がゴロゴロしている中で、あたかも再生可能であるかのような話を安易にすること自体が無責任だと感じています。

ご紹介された「ふるさと納税」で賄える税収など微々たるものですし、本当に儲かるモノなら地方自治体ではなく民間で運営したらよいと思います。また、中途半端なアイディアコンサルである伝道師やら地域おこし協力隊のような地方を途上国扱いする仕組みで事態が改善するとも全く思いません。

ただし、前田さんに限らず地方活性化にお悩みの首長様などがいらっしゃれば、容赦のない意見を述べて良いのであれば、活性化策のアイディアを有料でお答えさせて頂きます。

営業サービスとして地方活性化の基本マインドについて述べさせて頂きます

そうは言っても、「アイディアは無い」と言われるのも癪なので、下記の通り基本的なものの考え方を提示します。これらが無くして地方が活性化することはありません。

地方活性化についての基本的な3つの考え方について述べさせていただきます。

(1)資本主義マインド

最初に変えるべきことは、金持ちから貧乏人にお金を移すことが当たり前という発想を止めることです。そんな考え方が蔓延っているところに「お金を稼げる人」はイケダハヤトさんのようなプチブル個人事業主などの例外ケース以外はワザワザやって来ません。地域の富はお金を稼げる人が創ります。そういう人を大切にする政策を実行しましょう。

(2)ビジネスマインド

民間経済が回復することはそのまま地域が活性化することであると理解しています。したがって、民間の経済力が豊かな都市部とのビジネスを積極的に行うべきです。都市部からの財源移転(漁師が魚を貰っている状況)から抜け出て、民間経済が回る(魚を釣る)方法を覚えましょう。ちなみに、私が何度も言っているように、既に魚が捕れないほどに砂漠化が進んだ場所であることが判明した場合は速やかに住む場所を変えることをお勧めします。

(3)主体性マインド

たとえば、観光振興を例にとってみれば、大半の観光資源は元々別用途で使われていたものです。それを観光資源にしていくためには主体性が必要であり、地域の人が自分で自発的に考えて実行できるマインドが必要です。地方創生予算があるからとか、同じ国民だから最低限の水準を整えるべきとか、というしみったれた発想ではなく、隣の街よりも稼げるまち、都市よりも稼げるまちを目指すことが大事です。

私からは以上の通りとなります。何度も申し上げますが、これ以上のアイディアをお求めであれば、コンサルティングフィー次第では相談には乗らせて頂きます。よろしくお願いいたします。

ということで、11月16日にアゴラ上で返信予定。





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