2015年12月02日

「代替財源」という発想がナンセンスじゃないのか!

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税金を下げる目的は減税じゃないの?という素朴な疑問

政府では法人税の20%台への引き下げ、という何週も周回遅れの政策を実行するために、赤字企業などへの外形標準課税を強化する、という方針が固まったそうです。

つまり、法人税減税を行って減少する税収分を他の税収から補うという話なのですが、この行為を「代替財源を確保する」として表現されます。これによって減税による税収減少が足し引きのトータルで無かったことになります。

ストレートに申し上げてナンセンス過ぎて全く意味が分かりません。以前から財務省は何らかの減税を実行する場合に代替財源の確保が必要だと述べていますが、プラマイゼロになるなら減税などそもそも実行する意味がないのです。

税収の全体額が減るように設計するから「減税」だという当たり前の話へ

減税政策は民間から没収する税収の全体額が減少するから景気浮揚効果が発生してメリットが広範囲に及ぶことで初めて意味を成します。

片方には増税、片方には減税、の代替財源を前提とした場合、単なる税金の「付け替え」行為なので全体の景気浮揚効果も有るのか無いのか良く分からない話になります。今回の話であれば利益が出ている企業から利益が出ていない企業に負担を付け替えるというトンデモない愚策であり、本末転倒な税制改革プランを破棄するべきです。

赤字企業に課税することで産業の新陳代謝になるという理屈は成り立ちません。新たな投資を実行して産業を興していくためには初期段階で巨額の費用を投じながら赤字にもなることがあるからです。むしろ、そうではない赤字企業は自然と淘汰されていくわけですから、赤字企業への課税強化は新しい産業の芽を摘み取る行為になる可能性があります。

もちろん、現在進行形で儲かっている企業は既に金のなる木として成熟したビジネスであり、それらに資金が残る形にすることで新たな投資を促進し、法人税減税と行政改革を断行することも重要です。

法人税を地方税化することで財務省の愚かな算盤勘定から分離させるべき

当ブログではそもそも中央政府が法人税を所管することを止めるべきだというスタンスです。経済政策に関する権限・財源を地方自治体に移譲し、地方自治体が経済・雇用に関する責任を担う新しい形の地方分権を提言しています。

中央政府が産業政策の権限・財源を握り続けることは、東京からど田舎までビジネス環境が異なる日本の事情を全く踏まえない誰が見てもおかしな政策が継続することを意味します。法人税が全国一律で設定されていること自体が極めて異常なことであり、地方自治体に中央政府から産業政策の権限・財源を全て移管するべきです。

財務省は「減税を行う=代替財源を探す」という非常識な思考回路が確立しており、財務省の軛から「法人税」という最大の産業政策を切り離すことが日本再飛躍のための突破口になっていきます。






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森林環境税でCO2が減少するたった1つの理由

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現在、地方自治体では森林整備のためという名目で35県が環境税を導入してます。県民1人あたりの500~1000円を徴収し、単なる広報費用や県職員への研修代など森林保護に繋がるか効果が疑わしい事業への支出が繰り返されており、その税金の利用使途の在り方について疑問が投げかけられています。

全国規模で更なる森林環境税を上乗せしようとする政府の無神経さに唖然

政府は、温暖化対策の名目で、税制改正の中で新たに全国民の個人住民税に一人500~1000円の増税を実施する「国版・森林環境税」を導入する方向で調整しています。

そもそも全国の個人「住民税」に一律で上乗せするという、国税・地方税の区分を取り違えたトンデモ増税であることは間違いなく、なおかつ地球温暖化についても科学的是非は意見が分かれるところであり、全国の35県が導入している環境税の利用使途に疑問が投げかけられている中での無神経な増税行為について唖然とせざるを得ません。

さらには、環境省も独自の環境税構想を打ち出しており、お役所の縦割り構造で二重三重の課税が実行されてバラバラに増税を打ち出すという各行政機関の利権獲得モードに辟易します。

大量の環境税を作りまくることで確実にCO2排出量が減少する理由

しかし、単純にCO2の削減を実施したいということであれば、森林環境税などの環境税を大量・複雑に構築することは理にかなっています。それらの行為によって日本の経済成長は確実に阻害されるため、経済成長の停滞によってCO2の排出量は減少していくことになるでしょう。

要はCO2の排出量を削減したいのであれば、ワザワザ環境税などではなく、所得税・法人税・消費税などの税金の税率を増税すれば良く、コソコソと温暖化対策・森林保全などの目的を掲げて微量の増税を繰り返す必要などないということです。

現在、県が環境税として徴収している税収は280億円程度になるそうですが、環境税が存在している県とそうでない県でびっくりするほど何かが変わったでしょうか。ビックリするほど新しい利権が億円単位で生まれたことを除いて、それほどの違いは無いのではないかと思います。

必要なものは「環境減税」、安易な増税から賢い減税へ

各都道府県のCO2排出量は各都道府県のGDPとほぼ相関関係があるため、単純にCO2を減らしたいなら主要都市部に大量の増税を実施することで達成できます。国全体で見た場合では、既に都市部への過重な税負担を課していることで経済成長を抑制しており、このような政策は実行されていると見做すこともできます。

しかし、国民はお人良しではあっても馬鹿ではないので、経済成長を犠牲にしてまで増税を実行し、なおかつそれが何の役にも立たないことを許容することはありません。

だからこそ、森林などの環境を本当に守りたいならば、自然環境を保全することに対して実質的に意味があることに企業・個人が資金を投じた際に環境「減税」を実行することが望まれます。「安易な増税」ではなく「賢い減税」を実行していくことに知恵を使うべきです。





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誰がザッカーバーグからFB株99%を取り上げたのか?

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ザッカーバーグ夫妻が保有株式の99%を寄付することを表明

FACEBOOKのCEO・ザッカ―バーグさんが同社の保有株式の99%を手放し、慈善団体に寄付することを表明しました。450億ドル(時価5兆5300億円)の莫大な金額の寄付を宣伝したザッカ―バーグ夫妻は、過去にも数1000億円以上の寄付を行ってきた経緯があり、慈善活動に熱心な起業家として知られています。

今回は、ザッカ―バーグ夫妻自身が保有するFB株売却の税引き利益を活用し、不平等の是正、変革のための技術、医療、教育などの分野に長期投資を行う計画を発表しています。

ザッカ―バーグ夫妻が愛娘の誕生に際して送った手紙

今回ザッカ―バーグ夫妻が巨額の寄付を行うきっかけになった出来事は夫妻に愛娘が誕生したことです。夫妻はFB上で愛娘に対する手紙をしたためており、同社のサービスを使った粋な寄付表明を行っています。手紙の全文は下記から見ることが出来ます。

ザッカ―バーグ夫妻の手紙全文(英文)

手紙の内容は、様々な社会問題について触れられており、お子様に良い世界を残したいという願いが溢れており、非常に倫理的な内容の伴ったものとなっています。

大富豪から所得の再配分を実現できるのは政府ではなく倫理だということ

大富豪は様々な節税対策を実施することも可能であり、またそれ以上に資産が増やしていくことが可能であるため、政府の徴税機能では社会のために十分な所得再配分などを実現していくことは困難です。

そして、彼らは政府に納められた税金のようにいい加減な資金の使い道は許容せず、しっかりと世界のために本当に繋がるような寄付の利用使途を求めます。

彼らに資産の大半を寄付に回すことを了解させるのは政府ではなく「倫理」でしかありません。所得の再分配を真に意味がある形で実現していくのであれば倫理の回復を優先して行う必要があります。

ザッカ―バーグ氏は世界の富豪が参加している「生きている間または死後に自分の富の半分以上を慈善事業に寄付する」という「Giving Pledge」にもサインを済ませています。






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yuyawatase at 10:51|PermalinkComments(0)社会問題 | 起業論
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