2015年11月15日

地方活性化を本気で望むならマインドを変えるべき

kuuki


アゴラに寄稿した記事について、長崎総合科学大学の前田陽次郎さんから返信を頂きましたので、私の方からも回答をさせて頂ければと思います。少々辛めの意見ですがご容赦頂ければ幸いです。

まずは地方税・地方交付税に関する大枠の話についてお答えさえて頂きます

根本的な見解の違いを申し上げますと、私は「地方が都市部と同様に十分なインフラが整備されないとおかしい」ということは不可能かつ無謀だと思いますし、また高所得者から低所得者への所得移転も無条件では同意しません。

その上で、地方財政の話について申し上げますと、現状の地方交付税などの地方への強制的な税配分の継続を前提とした場合、東京都民が地方自治体に対して利用使途を査定するという制度の導入には同意します。そして、過剰な財源移転を止めることについても当然に賛同します。

また、ご提案の各都道府県から得られる消費税収入を基礎とした地方交付税廃止案は、都市部にとっては消費税偏在の関係から大量に資金が残って非常に良いことだと思います。さらに、消費税の地方税化を通じて増減税競争が起きることで足による投票が進むことも良いことです。

仮に東京都の税収が潤沢になった場合、余剰見込みの税収を使った都内消費税減税などを通じて、東京都の景気を大幅に浮揚させることで、首都圏3500万住民の所得・雇用が大幅に改善すると思います。おそらく国民的な住居移動が促進されて首都圏人口は増加し、経済効果の恩恵を受ける人の数は増大し続けるでしょう。限界集落まで含めた国民全体という話は難しいかもしれませんが、単純にバラマキを行うよりも都市近郊の地方自治体の振興には大いに役立つはずです。

資産格差・所得格差についてですが、田舎の地方自治体内部にも所得格差・資産格差は当然に存在しますので、まずはそちらで平等化を実施してみてください。それを一国レベルで実施するのか、地域単体で実施するのかの違いでだけです。本当に成り立つ話でしょうか、想像してみてください。

私が何度も申し上げていることは、都市からの財源移転を前提としなければ、地方の経済も財政も成り立たないことを素直に認めるべきであり、都市に集中投資することでスムーズな移行を実施するべきだということです。地方消滅に向けた準備や移住促進を速やかに行うべきだと思います。

ごめんなさい、細かい質問に回答するならコンサルティングフィーを頂けますか

さて、その他の前田陽次郎さんの諸々の疑問に一つ一つ反論していくこともやぶさかではないのですが、この場でそれを行うことはいたしません。なぜなら、アイディアも紙面もは有限だからです。

前田さんは優秀な都会人が「ふるさと納税のような制度を提示してあれば」とおっしゃっていますが、それらは無料ではないために地方活性化策についてこの場では回答する気はありません。

ちなみに、自分は現実に再生不能な地方自治体がゴロゴロしている中で、あたかも再生可能であるかのような話を安易にすること自体が無責任だと感じています。

ご紹介された「ふるさと納税」で賄える税収など微々たるものですし、本当に儲かるモノなら地方自治体ではなく民間で運営したらよいと思います。また、中途半端なアイディアコンサルである伝道師やら地域おこし協力隊のような地方を途上国扱いする仕組みで事態が改善するとも全く思いません。

ただし、前田さんに限らず地方活性化にお悩みの首長様などがいらっしゃれば、容赦のない意見を述べて良いのであれば、活性化策のアイディアを有料でお答えさせて頂きます。

営業サービスとして地方活性化の基本マインドについて述べさせて頂きます

そうは言っても、「アイディアは無い」と言われるのも癪なので、下記の通り基本的なものの考え方を提示します。これらが無くして地方が活性化することはありません。

地方活性化についての基本的な3つの考え方について述べさせていただきます。

(1)資本主義マインド

最初に変えるべきことは、金持ちから貧乏人にお金を移すことが当たり前という発想を止めることです。そんな考え方が蔓延っているところに「お金を稼げる人」はイケダハヤトさんのようなプチブル個人事業主などの例外ケース以外はワザワザやって来ません。地域の富はお金を稼げる人が創ります。そういう人を大切にする政策を実行しましょう。

(2)ビジネスマインド

民間経済が回復することはそのまま地域が活性化することであると理解しています。したがって、民間の経済力が豊かな都市部とのビジネスを積極的に行うべきです。都市部からの財源移転(漁師が魚を貰っている状況)から抜け出て、民間経済が回る(魚を釣る)方法を覚えましょう。ちなみに、私が何度も言っているように、既に魚が捕れないほどに砂漠化が進んだ場所であることが判明した場合は速やかに住む場所を変えることをお勧めします。

(3)主体性マインド

たとえば、観光振興を例にとってみれば、大半の観光資源は元々別用途で使われていたものです。それを観光資源にしていくためには主体性が必要であり、地域の人が自分で自発的に考えて実行できるマインドが必要です。地方創生予算があるからとか、同じ国民だから最低限の水準を整えるべきとか、というしみったれた発想ではなく、隣の街よりも稼げるまち、都市よりも稼げるまちを目指すことが大事です。

私からは以上の通りとなります。何度も申し上げますが、これ以上のアイディアをお求めであれば、コンサルティングフィー次第では相談には乗らせて頂きます。よろしくお願いいたします。

ということで、11月16日にアゴラ上で返信予定。





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
スポンサードリンク

東京都の出生率はどうすれば伸びるのか?


a0002_011580


最近は東大もダメになったんだなーと思って少々残念な市議会議員さんの記事を紹介します。

東京のみなさん、まだイケダハヤトで消耗してるの?(長坂 尚登さん・豊橋市議会議員)

この文章中に冒頭に出てくる「研究者」の私のことのようです。まあ、自分は研究者の肩書しか表に出していないのですが、自分も経営者の端くれなので「まさか「最近、年商2000万前後になった」限界集落に住んでる個人事業主のにーちゃんを羨ましいと思うわけないだろ?もうちょっと大人の経営者感覚と仕事観を持って市政運営に携わってほしい」と思ったことは、脇に置いて内容について触れていたいと思います。

以下は政策的なお話。

都市部の出生率が低い原因とは何か

国立社会保障・人口問題研究所が実施した「第14回出生動向基本調査結婚と出産に関する全国調査(夫婦調査)」(2011年)によると、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(60.4%)ということです。つまり、十分な頭数の子どもを持つか持たないか、ということはお金の問題であると言っても良いでしょう。

件の市議会議員さんは、 市区町村別にみた合計特殊出生率(厚生労働省)を参照して、出生率が高い地方よりもむしろ出生率が低く高齢化が進む東京が備えを十分にするべき、という議論を展開しています。

このような議論は原因と結果が逆という典型的な事例です。つまり、「東京都から異常な金額の金を地方に移転している」のだから「東京の現役世代から子育て費用が無くなって当たり前だ」ということです。

都市の暮らしの価値観なども現役世代に十分にお金が足りていれば変わることもあると思います。東京の出生率が低くなる原因は諸説あると思いますが、何よりも地方が東京都などに住んでいる現役世代からお金を奪っていることを忘れるべきではありません。

沖縄県で出生率が高い理由をお金の面から考察する

たとえば、平成25年度・人口一人あたりで見た財政移転の事例として沖縄県を見てみましょう。沖縄県への国庫支出金は264千円(全国1位)、地方交付税は254千円(全国17位) 、両者の合計は518千円(全国 6位)となっています。沖縄県の平均世帯人数は2.5人程度であるため、1世帯につき「年間約・130万」を国から受け取っていることになります。何もせずに、毎月1世帯10万円以上のお小遣いが貰えるわけです。

子どもを一人育てる時にかかる月額の平均費用は3~5万円程度でしょうから、沖縄県の人は子育て2人分くらいの費用は毎月財政移転を受けていることになります。

若者の都市流出は交通インフラが整備されることによって加速していくでしょうから、沖縄のように少し離れたところに若者が残って子どもが増える事例もあるかもしれません。しかし、考慮されるべきことは沖縄県の子育てのためのお金は東京などの都市部で働いている人から税金で強制的に移転して手に入れたものだということです。

人口減少スパイラルから脱却することを真剣に考えるべき

地方で子どもが生まれる⇒成人したら東京に出る⇒東京から地方に財源移転する⇒東京で出生率低下⇒地方で(前より少ない)子どもが生まれる・・・、という人口減少スパイラルへの対応を考えるべきだと思います。

県内・域内GDPに対する政府支出が高い半社会主義化した息が詰まる出身地に、若者が成人した後も留まらないことは数字が証明しています。生まれる場所は選べないので最初は地方に生まれても多くの若者は都市を目指して移動します。若者にどれだけ地方移住を促進してみたところで雀の涙のような人口移動しかないでしょう。

真剣に考慮するべきは、東京という若者が集住している地域にお金を残して、この地域の出生率を上げていくということだと思います。また、海外からの移住者の受け入れ促進を通じた即効性がある人口増加を大規模に進めていくべきです。

東京の高齢化への対応として地方に高齢者を送りだすという話は介護人材などが根本的に不足するために絵に描いた餅です。地方創生で出生率を上げるなどの社会主義的な発想は一時しのぎで全体から見れば大きなマイナスを生み出すでしょう。

地方活性化伝道師や地域おこし協力隊を止めて都市部への若者集住を促進すべき

現在、国の政策として、地方活性化伝道師や地域おこし協力隊などの税金を使った人材・若者の地方への送り出しを推進していますが、貴重な生産年齢人口(かつ経験不足の若者)を生産性が低い地方に送り出すことに非常に疑問を覚えます。しかも、若い段階で国の税金で仕事を行うと民間経済を良く分からない勘違いした人材が育ってしまう悪影響もあります。

仮に地方創生を実現していくとしたら、それは民間経済の文脈で地方が活性化することであり、国の予算で若者を送り出すのではなく、自然な経済活動の結果としてもたらされるべきものです。

税金で推進されている地方創生は、地域から活力を奪い、更に足腰を立たなくする結果を生み出すことになるでしょう。若者には都市で民間のビジネス感覚を身に付けさせることが第一であり、その後に行きたい人が自発的に地方に行けば良いのです。

ということを、今週どこかにアゴラで返信として載せようかなと思っています。





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
スポンサードリンク

自由民主党結党60年、山本勝市「福祉国家亡国論」とともに

山本勝市

写真の人物を知っていますか?(山本勝市先生について)

この写真の人物は山本勝市先生です。著名な経済学者であるとともに、通算5期の国会議員を務めた重鎮でもあります。自民党結党60年に際して、当ブログでは山本勝市先生について触れながらコメントしたいと考えています。

山本勝市先生は戦後におけるハイエクなどのオーストリア学派の日本における研究の第一人者でした。また、鳩山一郎が創設した「自由党」の結党に加わり、その経済政策の根幹に自由経済を据える際に重要な役割を果たし、日本の針路を実質的に決めた人物です。

社会主義や全体主義に対して徹底的に対抗し、戦後日本の黎明期に日本社会の自由を守った人物といっても過言ではありません。

自由民主党が生まれたときに何が起きたのか

1955年、山本勝市先生が所属をしていた自由党は日本民主党と合併して自由民主党が生まれることになりました。その際、現在までに至る病根が自由民主党の中に埋め込まれたことが山本勝市先生の著書である「福祉国家亡国論」の中に記されています。(*絶版なので国会図書館まで行かないと読めません)

同書の中で革新官僚として名を馳せた岸信介氏が幹事長として絶大な権力を振るい、自由民主党の中から自由主義経済の芽を摘み取り、政府が社会を変える様々な「計画」がねじ込まれたことが指摘されています。岸信介氏は現在の安倍首相の祖父に当たる人物です。

山本勝先生が所属していた自由党の党綱領には「計画」という言葉は存在せず、岸信介氏が所属していた日本民主党の党綱領には「計画」が明記されていたことから、その路線対立は深刻なものだったことが伺われます。

自由経済の担い手であった自由党が計画経済の申し子である岸信介氏に飲み込まれた悲劇、それが自由民主党の結党の意味することだったのです。

自由民主党の中に山本勝市先生のDNAは残っているのか

2015年現在の自由民主党は表面的には自由経済の体制の大切さを主張していますが、毎年膨張し続ける政府予算と政府債務の有り様を見れば、旧自由党のエートスはほぼ失われた状況にあると言えます。

自由民主党は岸信介の孫である安倍首相が党首を務めていることからして、もはや完全に岸信介氏に率いられた旧民主党の系譜に当たる勢力によって支配された姿を晒しているわけです。

自由民主党所属議員は結党60年に際して、自分たちの政党ができた過程で何が起きたのか、そしてそれが現在の私たちの生活にどのようなインパクトを与えたのかを問い直すべきです。

自由民主党の中に山本勝市先生のDNAがまだ残存していることを切に願います。






このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 12:00|PermalinkComments(0)国内政治 
スポンサードリンク